徹底検証 HISモバイル: データ単価最安値レベルのドコモ回線格安SIM / 利用上の注意点は?

HISモバイル 徹底検証!格安SIM
旅行会社HISが展開するMVNO系格安SIM「HISモバイル」。
NTTドコモ回線を利用しているため、通話や通信速度などの回線品質が良いと思われがちですが、落とし穴もあります。その使い勝手と注意点を報告します。

なぜHISモバイルを選んだか?

通話料金が半額

かけ放題オプションに加入していない場合、通常 通話料金は 税込22円/30秒です。
毎月の通話時間がばらばらなので と油断していると、うっかり長電話をしてしまった月には、予想外の料金が請求されることがあります。
これを避けるために通話料金が安い音声通話付きSIMをさがすのですが、HISモバイルは税込11円/30秒というのが、魅力に感じました。

通信品質にある程度の期待

今回の選択にあたっては、NTTドコモの回線を利用したMVNO格安SIMを検討しました。
大手キャリア(NTTドコモ、au、SoftBank)の中で通信エリアがもっとも広いと一般的に言われています。
NTTドコモの回線をつかった格安SIMなら、データ通信の品質がそれなりによいのではないかと勝手に期待していました。
そして、その予想が正しいのか、性能を評価したかったのです。

データ通信料金が最安値レベル

今回の評価の目的には、「データ通信の主回線となりうる音声通話付き格安SIMを探す」ことも含まれていました。
通話料金が安いことも条件の1つですが、月間データ容量が安いことも選択の基準になります。
これまで毎月のデータ使用量は、3GB以下で一定でしたので、 3GBの料金が安い格安SIMから選択することにしました。
月額料金1,000円以下の音声通話付き格安SIMは、2022/9/2現在 以下のとおりです。
月額料金 3GBで1,000円以下の音声通話付き格安SIM (2022/9/2現在:キャンペーンによる割引を除く)
提供会社
3GB 月額料金(税込)
回線
備考
eSIM対応
1
730円
docomo
基本料金1GB 290円に1GB 220円 x2を追加
2
770円
docomo
3
792円
docomo/au/softbank
VSプラン 3GB
X
4
880円
docomo/au
X
5
990円
au
6
850円(*注)
docomo/au
2GBプラン
7
990円(*注)
docomo/au
4GBプラン
8
980円
docomo
X
9
990円
docomo
10
990円
SoftBank
11
1,078円
docomo/au
X
12
1,518円(*注)
docomo/au/softbank
NTTドコモ回線の格安SIMには、IIJmioやBIC SIMのように 選択肢が2GBか4GBかというもの、mineoのように、1GBか5GBかというものもあります。
最低基本料金と追加データの料金が最も安く購入しやすい、NTTドコモ回線の格安SIMは、日本通信かHISモバイルとなります。
日本通信とHISモバイルの1GB〜3GBの料金は以下のようになっています。
月間データ容量 1GB
290円
550円
  追加データ1GB
  + 220円
+200円
月間データ容量 2GB
510円 (=290円+220円)
750円 (=550円+200円)
月間データ容量 3GB
730円
770円
日本通信もHISモバイルも eSIMに対応しています。
料金だけで判断すると、日本通信SIMを選ぶことになります。
しかし今回、日本通信SIMで休日夜間にオンライン契約をしようとすると、エラーがでて先に進めなくなってしまいました。
その結果、HISモバイルを試すことにしました。

実際の使い勝手は?

みんなの”平均値”に騙されるな!

格安SIMを評価するときに重要なポイントは、料金体系と通信速度です。
格安SIMの評価記事で、通信速度について、よく「みんそく」(みんなのネット回線速度)の平均値もって比較している場合があります。
しかし、これはあくまで全国もしくは特定地域の平均であり、自分が利用するときに同じ通信速度を得られるかどうかは、まったく別の話です。スマホの機種性能や 4G LTEか5G通信かでも通信速度は全く異なります。
この手の比較・紹介記事には注意が必要です。
「みんそく」によるとHISモバイルの通信速度は以下のようになっています。
HISモバイルのみんそく数値
通信速度の評価は、場所・時間帯の2つの観点が必要です。
自分の行動範囲で快適に利用できるかが、その格安SIMを採用するかどうかの決め手になります。
場所について具体的には自宅周辺、勤務時間帯と休日の外出先です。
理想的には、一週間ほど実際に試しに使ってみてから決めるのが望ましいです。

場所と時間で通信速度のばらつきが大きい

HISモバイルで大きな誤算だったのは、場所や時間帯によって通信速度が大きく異なるという点です。
その振れ幅は、17.6Mbps〜96.3Mbpsまでとても大きなものでした。
まず意外だったのは、自宅周辺での通信速度が非常に遅いことでした。自宅周辺は都内ではないものの、NURO光の回線が優先的に施設されるような地域であり、3大キャリアの電波が入りにくいということはない地域です。私の場合、iPhoneSE第2世代ですので、4G LTE通信での評価となります。
休日 朝 自宅
HISモバイルの通信速度
また、自宅外での通信速度も、場所と時間帯によって大きなばらつきがみられました。
平日 昼 都内
休日 朝 外出先
HISモバイルの通信速度
HISモバイルの通信速度
一般に用途別の推奨通信速度は以下の通りです。
用途
推奨通信速度
オンライン会議
10〜15Mbps
4K動画
20Mbps
オンラインゲーム
30〜100Mbps
外出先で 動画を見たり、オンラインゲームはしませんが、オンライン会議は実施する可能性があります。
10Mbpsを下回るときは、動画の視聴は若干難しく、顔出しでのオンライン会議に問題がでる可能性があります。
データ通信がつながらない場合でも、品質はともかく音声通話には問題なくできるようです。
データ通信の電波と音声通信の電波が異なるためではないかと思われます。

APN設定がかなり面倒

今回は、特に他の格安SIMと同時に評価していた影響もありますが、MVNO系格安SIMに特有の「APN設定」はかなり面倒でした。
「APN」とはAccess Point Nameの略で、端末でデータ通信をするために必要な設定です。 端末と通信をつなぐポイントの役割を果たしています。 大手携帯電話会社の場合は、初めからAPNが設定されていますが、格安SIMの場合は、APNの初期設定を行わないとモバイル通信を使用することができません。(手順はこちら
しかも、SIMカードを入れ替えて利用する場合、HISモバイルのAPN設定が邪魔をして他の格安SIMで通信ができません。その場合には、HISモバイルのAPN設定をいったん削除する必要があります。
そのあと、HISモバイルを再び利用する場合には、またAPN設定のインストールが必要です。
このAPN設定のインストールには、Wi-Fi環境が必要となるため、HISモバイルがアクティベートされていない状態でもネットがつながる環境が必要となります。
この APN設定のインストール・削除の繰り返しが、格安SIMを入れ替える場合には必要となるので注意が必要です。

SIMカード/eSIM交換手数料

特にデュアルSIMを運用するとき、機種変更をするときに影響しますが、eSIMの再発行手数料、SIMカードからeSIMへの変更手数料には要注意です。HISモバイルでは以下のようになっています。

内容 手数料(税込)
SIMカードを
再発行
3,300円
SIMカードの
サイズ変更
3,300円
eSIMの再発行 1,100円
eSIMからeSIMに
(機種変更)
1,100円
SIMからeSIMに変更 1,100円
eSIMからSIMに変更 3,300円

結論: HISモバイルの実力は?

以上をまとめると、HISモバイルのメリットは以下のようになります。
  • データ容量あたりの価格は非常に安い
  • 通話料金も他社の半額
一方、HISモバイルを利用する場合の注意点は以下のようになります。
  • 場所・時間帯によって 通信速度が異常に遅い場合がある(NTTドコモの通信エリア内でも必ずしも速いとは限らない)
  • SIMカード/eSIM交換手数料は毎回かかる
  • APN設定: 他のnanoSIMカードと入れ替えて使い分けるときには毎回APN設定の解除・登録が必要。
HISモバイルをもっとも有効に活用できるのは、
  • HISモバイルの通信速度が速い地域で データ容量単価をできるだけ安くしたい
  • 通話時間が毎月変動する中で、通話オプションを契約することなく、通話料金をできるだけ安くしたい。
ユーザーということになります。
データ通信の単価と通話料金は確実に安くできますが、データ通信をHISモバイルに全面的に依存するのはちょっと危険のように思います。NTTドコモの通信エリア、アンテナが4本立っている場所でも、通信速度が極端に遅くなる場所があるからです。
HISモバイルでのデータ通信が異常に遅い場合には、すぐに他の格安SIMのデータ通信に切り替えられるよう、別の格安SIMカードを持ち歩く、あるいはデュアルSIMにするなどの対策が必要です。

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